口腔内の状態と生活習慣が深く関わっていることをご存知ですか?
生活習慣病と聞くと、糖尿病や高血圧などを想像する方が多いと思います。
特に糖尿病を発症している方は影響が大きく放って置くと最終的に歯を失ってしまう可能性もあります。
しかし、歯周病も立派な生活習慣病なのです。
そこで、はち歯科医院では現在、糖尿病の方を中心に栄養士による栄養指導を行っております。
では実際にどのように行っているのか今回は糖尿病の数値の改善を目的とした栄養指導での例を挙げてお話をしたいと思います。
糖尿病 70代男性 Tさん
Tさんは長くはち歯科に通院されている方です。
元々、糖尿病で内科を通院されていて毎月の検査の数値も薬で一定に保ち、口腔内の状態も定期的なメンテナンスで歯周病の進行を抑えていました。
しかし、今年に入り検査で数値が上がったと報告を受け、またメンテナンスでも歯周病が進行しているとわかりました。そこで生活習慣の改善が必要なのではないかとスタッフ間で話し合い栄養指導を行うことになりました。
■ 栄養指導1回目
まず始めに、Tさんの生活習慣にカウンセリングを行いました。
糖尿病の食事療法は治療の基本となっています。
そこで一日の食事について主に聞くことができました。
朝食 | 昼食 | 夕食 | 間食 |
アンパン 1/3個 食パン 1枚 レーズンパン 1/2個 青汁 |
ご飯 南蛮漬け サラダ (レタス・ きゅうり・ キャベツ) |
目玉焼き 野菜炒め ご飯 |
宇治抹茶ケーキ |
これがTさんのある一日の食事内容です。
これを聞いて私たちは朝食に糖質の高い菓子パンを食べている事が気になりました。
そこで詳しく話を聞いてみるとTさんはなんと、
食パンにアンパンを挟んだオリジナルサンド
を作って食べていたのです。
驚く私たちを尻目にTさんは「これがたまらなくてね~」と笑顔でおっしゃっていました。
このままでは悪化する一方だと考え早急に食事の改善が必要だと思い、まずは甘いものを少しでも減らそうと提案をし、次回までに一週間分の食事の記録を取ってきてもらうよう約束をしました。
■ 栄養指導2回目
1回目から約一週間後2回目の栄養指導に入りました。
約束通りTさんは一週間分の食事の記録を専用のノートを作って書いて来てくれました。
その姿を見て、私たちはTさんからやる気を感じることができました。
ノートを見てみると昼食、夕食は自炊が多く見られ、野菜サラダを取り入れている日が多く見られました。しかし、それとは反面、果物や菓子パンをサラダ以上に摂っていることがわかりました。
Tさんの場合、間食時に菓子パンを食べるのではなく、血糖値の上がりやすい朝食を食べていることが問題でした。
そこで資料をもとに、理想とする食事のバランスを提案し、
①朝食をパン一種類か、ご飯食に変える
②間食の果物やおやつを減らす
この二つを目標としました。
Tさんは大の甘いもの好きでこの提案に少し自信がないようでしたが、二つ返事で頑張る事を決めてくださいました。
■ 栄養指導3回目
初回から約1ヶ月経ち、かかりつけの病院での検査結果も出ていました。
栄養指導に入ると、Tさんは嬉しそうにしており、話を聞いてみると検査結果の数値が微量ながら改善されていたのです。
指導前 | 指導後 | |
血糖値(mg/dl) | 242 | 175 |
HbA1c(%) ヘモグロビン | 7.0 | 6.9 |
今回は食事の記録を書いてくるように伝えてはいなかったのですが、Tさん自らノートを開き「これが日課になった」と教えてくれました。
これには私たちも驚き、とても嬉しく感じました。
前回の目標の確認をしたところ、朝食に関しては量は減っていたもののやはり、甘い菓子パンは譲れなかったようです。。
しかし、間食の方は私たちが思っていた以上に減らすことができていました!
目標二つともは達成ができなかったですが、検査結果の数値の改善には少しでも協力することができたのではないかと感じます。
これからもTさんの栄養指導を引き続き行っていきながら歯科医師、歯科衛生士と協力して行き改善につなげていきます。
当院では有資格者の栄養士が患者様の口腔内の状況から栄養指導や計画を立てて取り組んでいます。
どうぞお気軽にご相談下さい。