当院ではマタニティ歯科外来を掲げております。
妊娠期のお口の状態や食べる物が生まれてくるお子さんの身体や歯に影響します。
妊娠中に起こるお口のトラブル
■ 妊娠性歯肉炎、歯周病
妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなります。
これには女性ホルモンが大きく関わってくるといわれています。特にエストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病原細菌の増殖を促すこと、また、歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。
そのほか、プロゲステロンというホルモンは炎症の元である物質を刺激します。
これらのホルモンは妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれており、このため妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなるのです。
ただ、基本的には歯垢が残存しない清潔な口の中では起こらないか、起こっても軽度ですみますので、
妊娠中は特に気をつけてプラークコントロールを行いましょう。
また、まれに妊娠性エプーリスという歯肉に生じる良性腫瘍ができる場合もありますので、
その場合はお早めに受診してください。
■ 歯周病になっていると、出産や胎児に影響が!
妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。
これは口の中の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通して、出産時に直接感染するといわれています。
その危険率は実に7倍にものぼるといわれ、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字なのです。
(NPO法人日本臨床歯周病学会より)
■ 妊娠中に取る食事が赤ちゃんの歯を作る!
赤ちゃんの初めての前歯は生後6ヶ月くらいに生えてきますが、実は、乳歯はお母さんのお腹にいるときから着々と準備されています。
妊娠6~7週間目くらいには乳歯の種(歯胚)ができ、妊娠4ヶ月くらいになると、次第にカルシウムやリンが沈着して石灰化し、エナメル質が形成されはじめます。
妊娠中に肉・魚・卵・牛乳・豆類とその加工品の5種類をよく食べたお母さんから生まれた子供ほど虫歯が少なく、例えあったとしても軽い虫歯だったというデータもあるぐらいタンパク質は歯の形成にとって欠かせない栄養素であることがわかります。
母体にとってよい食事は、赤ちゃんの歯もしっかりと育てるというわけなのです。
妊娠期で気をつけたいこと
■ 妊娠初期(0〜3ヶ月)
妊娠すると、女性ホルモンが増えることで口の中の状態は大きく変化します。口の中を正常に保つ唾液の分泌が低下してしまい、トラブルになりやすい時期です。妊娠中でも治療は受けられますが、初期はできるだけ大きな治療は避けます。
【妊娠初期は、つわりがひどくハブラシを口にするのも苦労しがちな時期そんな時の歯磨きアドバイス】
一日のうちで体調のよい時間に歯磨きを、リラックスして行いましょう。その際、ヘッドの小さいハブラシを使用し、下の方を向いて前かがみの体勢になり、ハブラシをできるだけ舌に当てないようにすると嘔吐感を避けやすいです。
また香料や味の強いハミガキ剤は避けるとよいでしょう。匂いによる嘔吐感を感じる方も多いです。
どうしても歯磨きできない時にはデンタルリンスや水で、できるだけお口全体に行き渡るようにうがいをしましょう。
■ 妊娠中期(4〜7ヶ月)
つわりも徐々におさまり、安定期に。
お腹も少しずつ大きくなり、一度に「食べられる量」が減ってしまうため、空腹状態が多くなり、間食などの「食べる回数」が増えやすい時期です。妊娠中は唾液の量が減り、自浄作用が弱まるため、食後の歯磨きによるケアが重要です。
歯磨きの基本を再確認してリスクを減らしましょう。歯磨きの仕方でお困りの事があれば、聞いてください。当院の歯科衛生士が丁寧なアドバイスをさせていただきます。
体調も比較的安定しているため、歯科治療はこの時期が適しています。
後期に向かっていくにつれお腹が大きくなると、あお向け治療を受けるのが大変です。
■ 妊娠後期(8〜10ヶ月)
赤ちゃんのむし歯はママ、パパの影響が大!
出産準備や日々の仕事や家事で忙しくなり、体も重くなり妊娠初期とはまた違う辛さがある後期・・・。ついつい歯磨きをおろそかにしてしまいがちな時期でもあります。
ママのお口が不健康だと赤ちゃんにも細菌をうつしてしまうリスクがあります。ぜひ、出産準備とともに正しいオーラルケア、歯科でのメンテナンスを心がけましょう。もちろん赤ちゃんが生まれたあとも気を付けましょう!
赤ちゃんの歯のケアについては↓こちらの記事をご覧ください。
生まれたばかりの赤ちゃんの口には、むし歯の原因となる細菌(ミュータンス菌)はいません!
ですが、むし歯になる赤ちゃんもいます。それは、ママやパパが使ったスプーンで赤ちゃんに食べさせたり、噛み砕いたごはんをあげたり、またキスしたりすることによって、赤ちゃんに感染してしまうからです。
ママやパパから菌が移ることを「垂直感染」と言います。また、ママやパパだでなく、一緒に暮らす家族からもむし歯菌が感染する可能性があり、「水平感染」といいます。
垂直感染、水平感染については来院時に詳しくご説明いたします。
日々の歯磨きに気をつけながら、かわいい赤ちゃんの歯を守ってあげましょう。
歯科受診で気になることにお答えします。
■ レントゲンは撮影して大丈夫?
現在、「人体には全く問題ありません」と言い切れるほど、歯科で使用されているレントゲン撮影の安全性は向上しています。
特に当院では、より放射線量の少ない【デジタルレントゲンシステム】を採用していますので、従来型のフィルム現像タイプと比較すると、約10分の1の放射線量で撮影が行えます。
そして、もしレントゲンを撮影した後に妊娠がわかってしまったとしても、妊娠初期を含めた全期間を通じて、歯科医院で撮影するレントゲン写真は安全と考えて差し支えありません。
ただし、妊娠に気付いたらレントゲン写真は当院では極力撮影いたしません。
■ お薬や麻酔も大丈夫?
基本的には妊娠中はお薬、麻酔を使いません。
しかし、使用しないほうが悪影響がある場合、大きなストレスとなる場合は胎児に影響のないお薬、麻酔を必要最低限使用することがあります。
そんな時、当院では、生まれてくる赤ちゃんや授乳中の赤ちゃんに配慮した治療やお薬の処方、麻酔を行っています。
歯科麻酔は局所麻酔であり、麻酔薬の使用量も非常に少量で済むので、順調な妊娠中であればお腹の赤ちゃんにまで影響を及ぼすことはまずありません。
■ 上の子もいるし一緒に行けるかな?
当院にはキッズスペースがあり、保育士の資格を有したスタッフが多数在籍しています。また授乳室やオムツ台も完備しておりますので、安心してお越しください。
当院のマタニティ歯科外来の流れ
まずは下記のことをお伺いします。
・妊娠歴
・現在週数
・かかりつけ医(電話の予約時に歯科受診の許可を!)
・つわりの有無
・立ちくらみの有無
・妊娠後の口腔内変化
・食生活の変化
・最後の歯科受診時期
・楽な姿勢
・歯科治療についての希望
その後、お口の中を見せていただき、状態を確認いたします。
場合によってはむし歯菌や歯周病のリスクを判定する唾液検査も行います。
検査結果のご説明後、赤ちゃんへのむし歯菌や歯周病菌の感染についてのお話や、だっこや授乳のときの姿勢、寝かせ方についてアドバイスをおこなっています。乳児期の姿勢は呼吸や歯並びに関係してきます。
生まれてくる赤ちゃんのために、あなたができる2つのこと
1.むし歯や歯周病の治療をすること
お子様にむし歯菌が移るのを防ぎます。
2.歯ぐき(歯周病)のケアをすること
早産、低体重出産を防ぎます。
当院は、妊娠時から産後までサポートし、むし歯ゼロの子供になるよう、マイナス1歳からのかかりつけ歯科を目指しております。
生まれてくる赤ちゃんのために、妊娠期から予防歯科を始めましょう!