■ 今現在の子どもの食事の傾向
食べ物を噛む動作が、上手にできないこどもが増えています。
よく噛めば、それによって使う「咀嚼筋(そしゃくきん)」が発達し、硬さの異なる食品をバランスよく食べる事で、咀嚼筋を上手に動かせるようになります。
今の時代、1回の食事で噛む回数は平均約620回。
(本当は1000回以上が理想です。)
これは60年前の半分と言われています。
いざ、硬いものを食べようとしても、上手く噛めなくなっているのが現状です。
人は物を噛むと唾液腺が刺激を受け、口の中を浄化する唾液の分泌が促進されます。逆によく噛まないと唾液の量が不足し、むし歯や歯周病につながります。
最近注目のドライマウスの原因になります。
さらに嚙まないことで、顎の筋力が衰えると、下顎の重みを支えられなくなりいつも口がポカンと開いた状態に・・・。
それで口呼吸をすることになると、鼻の機能が低下して、菌が口からダイレクトに喉に入るので、免疫力の低下を招くようになります。
■ よくある小さいお子さんの食事
お子さんは1口の量がまだ分かりません。食べ物の大きさが小さいと、
「まだ入る、まだ入る・・・」
とどんどん口の中に入れ込んでいく傾向があります。
どんどん入れて噛む回数が少ないと、「オェっ」と戻すこともしばしばあります。
また、野菜やお肉を嫌がるお子さんも多いです。でもなぜか「からあげ」はみんな大好きです。(笑)
食事の時に、食事が手につくと嫌がるお子さんも多いです。手で持って食べるのを嫌がったり、5才になってもお母さんに食べさせてもらっているお子さんもいます。
■ 食べ方が上手な子供にする為には?
食べ方を覚えるには、成長のタイミングとともに、食べる方法を変えていく必要があります。
1.ごっくん食べを覚える(離乳食初期)
この頃は、お母さんが食べさせてあげる時期です。この時の食べさせ方がまずいとお口の発育に大きな影響を与えます。
この時期は、まだ歯が1本か2本しか生えていません。また、噛めないですが噛む練習が必要な時期です。スプーンで上手に食べさせる方法は、次回お話しましょう。
2.手づかみ食べを覚える
手で食べる事は大切です。ここではたくさんのことを経験します。
(1)手で持つことで、食べものの大きさ、硬さを感じます。
(2)口の中に入れることで、自分の一口量を覚えます。特に唇で、それを認識します。
(3)前歯で噛むということを覚えます。
この時期は食べものを投げたり、髪の毛につけたりして遊びます。それも大事な経験です。
手づかみ食べをしっかりできている子は手で食べものを持っても嫌がりません。
3.道具食べを覚える
スプーン、フォーク、おはしの順番で食べる方法を覚えていくことが多いです。
握り方も変わっていきます。 道具食べの時期は、道具を使う事に集中しまいがちですが、道具は必ず使えるようになるので、焦らなくても大丈夫です。
詳しい話はまたにします。 この時期は好き嫌いも多く出てきます。
■ どうして食べものが嫌いになるの?
食べものが嫌いな理由は、実はシンプルです。
(1)味が嫌い
(2)大きさが嫌い
(3)食感が嫌い
(4)硬さが嫌い
(5)見た目が嫌い(色など)
(6)その他
一般的に2才までは、味覚、嗅覚、視覚が発達してないのでこの頃までに好き嫌いを作らないことが大切です。
上手に噛めない時は・・・
上手に噛めない子は、繊維質の強いお肉や葉物の野菜などが噛めないので苦手になる傾向が強いです。
それでも、よく噛むことを頑張って一緒にトライして下さい。
無理して飲み込まなくても大丈夫です。
食べれない場合はお口から取り出してあげてください。
■ 食事で本当に一番大事なことは?
それは、食事を楽しむことです。
一緒になって食事を楽しんでください。ながら食べは絶対ダメです。
テレビを見ながら…スマホを扱いながら…
子どもは見ています。お母さんやお父さんの食べ方を。
食べ方は食事の基本です。みんなで楽しんで、集中して食べることが1番大切です。食事は心も体も成長させることができます。
一食一食を大事にすることが食育の基本だと考えています。
当院では、お母様、お父様にお子さまの食事動画をスマホで撮っていただき、その動画を見せていただきながら、食事のとり方のアドバイスを行っています。
お気軽に、ご相談下さい。